今週のいっぽん

2010年6月のいっぽん 「アウトレイジ」

気付けば、1年ぶりの更新。
映画は観てたんだけど。さぼってました。

「アウトレイジ」は製作発表があったころから、かなり楽しみにしていた。
椎名桔平、加瀬亮、三浦友和、小日向文世、國村隼などなど、出演してる俳優たちの名前を聞いただけで、これは観たい!と思ってしまった。
その中でも特に楽しみにしてたのが椎名桔平。
思い返せばもう15年以上前、竹中直人主演の「ヌードの夜」という映画で初めて椎名桔平という役者を発見して、その後、注目していたら、彼はどんどん売れていった。
でも、「ヌードの夜」のときのような切れた演技が観れる役がなかなかなくて、少し物足りなかったのだが、今回の「アウトレイジ」は全員極悪非道ということで、とても楽しみだったのだ。
で、そんな私の大きすぎる期待を裏切ることなく、桔平はやってくれましたよ。
他の役者達もみんな良かった。

ストリーはいたって単純で、延々と殺し合いが続いていくというだけのものなんだけど、そこには義理だの人情だの一切なくて、まあ、ほんとに仁義なき戦いなわけで、でもそれがかえってリアルというか。
目を反らしたくなるようなシーンもいくつかあったけど、観終えた感想は「面白かった」。
テンポも良かったし、役者も良かったし、音楽も良くて、始まりから終わりまで、一気に観れた。

今までの北野武映画にあった行間みたいなものはなく、出ている役者も常連組はいなかったということで、新たな北野映画の幕開け的な映画だったのかなと思った。
ちなみに今までの作品で好きなのは「ソナチネ」と「キッズ・リターン」。
「アウトレイジ」は面白かったけど、好きというのではないかな。でも、もう一回観たい。



2009年6月のいっぽん 「ウルトラミラクルラブストーリー」

最初の20分ほど、ばりばりの津軽弁に耳が慣れるまで、何言ってるのかよくわからない。
体は大人だけど中身は子どものままの主人公、陽人がスクリーンの中をあっちこっち飛び回る。
幼稚園のがきんちょ共が、パワー全開で容赦なく陽人に飛びかかる。
青森の田舎の景色、ものすごい生命力とそれとは正反対の死、すっごいピュアでまっすぐな想い、びっくりするラストシーン。
面白くて、切なくて、ファンタジーだけど何気にパンクで、出てる役者もみんなうまくて、好きだ、この映画。

最近、30代の女性監督が活躍してるけど、そんな中でも、この映画の監督、横浜聡子は頭一つ飛び出てる感じがする。
前作の「ジャーマン+雨」も、ゴリラーマン似の少女よし子が暴れまくってたけど、今回の陽人はそれ以上にハイテンション。
しかし、インタビューとかで監督が話してるのを見ると、訥々と話すローテンションの人で、この人があんな映画とったのかあとちょっと驚く。

そして、なんといっても主人公を演じた松山ケンイチがやっぱりすごい。
いつものように松山ケンイチ本人は全く見当たらず、水木陽人になりきってた。

観終えてから、またもう1回観たい!と思う映画だった。(既に2回観たが、沖縄で上映されたらまた何回も観そうだなあ)



4月のいっぽん 「バーン・アフター・リーディング」

コーエン兄弟の映画というと、前回の「ノーカントリー」みたいなシリアス路線と「赤ちゃん泥棒」や「ビッグリボウスキ」みたいなコメディ路線というように全く違う作風の映画を撮るんだけど、私はどれが好きかと言えば「ファーゴ」のようなシリアスとコメディの中間のようなおかしな風味のものが好みなんだけど。

今回の映画は予告編でのブラッド・ピットのおバカっぷりを観て、おもいっきりコメディなんだと思って観てたら、途中から予想以上のブラックぶりにちょっと驚いた。そうはいっても面白かった。

ブラッド・ピットのおバカ役がとってもキュートではまってた。
ブラピといえば最近じゃ私生活の話題ばかりが耳に入ってきて、役の印象が残らないイメージだったんだけど、今更ながらいい役者なのかなあなんて思ったり。
その昔、まだ彼がブレイクする前に主演した「ジョニー・スエード」というインディーズ映画のブラピもちょっと間抜けなリーゼント青年をキュートに演じてたなあ。二枚目より三枚目役の方が好きだなあ。

あと、全身整形に恐ろしいほど固執するフランシス・マクドーマンドがかなりうざくて、ちょっとかわいくて、ちょっと怖くてよかった。



3月のいっぽん 「ザ・ムーン」

昔から宇宙の映像が大好きだった。
子どもの頃は、銀河鉄道333やガンダムやスターウォーズの宇宙のシーンを観るのがすごく好きだった。
SFものが好きという訳ではなくて、とにかく、宇宙の映像を観るのが好きなのだ。

この「ザ・ムーン」はアメリカのアポロ計画で月へと旅立った宇宙飛行士たちのドキュメンタリーで、映像も全て本物の宇宙の映像。
アニメやCGではなくて、本物の宇宙の映像を大画面で観てるだけでも感動だけど、命がけで月へ行って帰ってきた宇宙飛行士たちの話もまた感動的だった。

アポロ11号が月面へ着陸したのが1969年。その後、数回に渡り月への着陸が行われたが、1972年のアポロ17号が最後となり、それから現在まで月面に降り立った地球人は彼らアポロの宇宙飛行士12人だけらしい。
自分が生まれるより前に人類が月に行っていて、自分が生まれてからは一度も人類が月に行ってないというのは、なんだか不思議な気がした。
それに、当時のコンピューターなんて今の携帯電話より性能が劣っているというんだから、よくそんなのが月までの往復をできたなあと。だったら今はもっと簡単に行けるんじゃないの?って思ったりもしたが。
まあ、私は生きてるうちには宇宙に行くことはできないだろうが、いつか月にいったり、もっと遠くの銀河系に行ってみたりしたいなあと宇宙に思いをはせまくった。



2月のいっぽん 「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳別れの手紙」

キューバ革命の英雄で20世紀最大のカリスマと呼ばれるチェ・ゲバラの物語。
スティーブン・ソダーバーグが監督、ベニチオ・デル・トロ主演でゲバラの映画を撮ると聞いてからずっと楽しみに待ってた。
淡々と描かれる映像で、なんか、ゲバラのドキュメンタリーを観たってかんじだった。
それだけに第2部は観ていて非常に辛かった。
ゲバラに興味がある人向けの映画で、ゲバラについて何もしらない人にはわかりにくいかも。

数年前に公開されたウォルター・サレス監督、ガエル・ガルシア・ベルナル主演の若き日のゲバラを描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」 は大好きな作品で、こちらはゲバラを知らない人が観ても十分楽しめるロードムービー。
この3本でゲバラ3部作というかんじかな。

それにしても、ガエル・ガルシア・ベルナルといいベニチオ・デル・トロといい、私のお気に入りの俳優が二人もチェ・ゲバラを演じるというこの偶然。アントニオ・バンデラスも「エビータ」でチェ役をやってるし。
これは偶然ではなく必然ってやつ?

スティーブン・ソダーバーグ監督がインタビューで「 ベニチオ・デル・トロも納得しているんだろうが、伝記映画史上、俳優よりも実物のチェの方がハンサムな最初の例だと思う(笑)。」と言ってたが、確かに、本物のゲバラの方がはるかにイケメンだ・・・
でも、このゲバラを演じられる俳優はベニチオ以外いないでしょう。
ベニチオ・デル・トロという俳優がいてくれてよかった。



2009年1月のいっぽん 「未来を写した子どもたち」

インドのカルカッタの売春窟に生まれついた子どもたちに写真を撮ることを教えることによって、彼らが変わっていく様子を撮ったドキュメンタリー映画。
冒頭10分くらいで既に泣いてしまった。
だって10歳の女の子が「もしここを抜け出して学校に行けたら、ステキな未来が待ってるんだろうな。」なんていうから。

カルカッタには10年以上前に行ったことがある。
バックパッカー向けの安宿街に行くと、子どもたちがものすごい笑顔で駆け寄ってきてびっくりしたのを覚えている。
その子たちは明らかに貧しい暮らしをしている子どもたちなんだけど、カメラを向けると喜んで写真に写りたがった。
この映画に映る汚くてぶっ壊れている街の風景も、子どもたちの笑顔も10数年前に見た自分の記憶とほとんど変わらないので、余計に子どもたちに感情移入して見入ってしまった。

それにしても、この映画の監督でもあり、子どもたちに写真を教えたフォトジャーナリストのザナ・ブリスキはすごい。
写真教室だけでなくて、学校に行けない子どもたちをなんとか入学させてあげたいと、入学のための必要書類の数々や健康診断も彼女が手配する。
あの国でのそういった手続きがどれほど大変なことかは想像がつく。

そして、子どもたちが撮った写真がどれも本当に素晴らしい。
悲惨な状況にありながらも、彼らの笑顔と彼らの撮った写真の素晴らしさが、観ていてとても救いだった。

1月のもういっぽん 「大丈夫であるように -Cocco 終らない旅‐」

この映画観ている間中ずっと泣いてた。終わった時には目が腫れてて映画館出るのが恥ずかしかった。
Coccoのドキュメンタリーで、ツアーで全国各地を廻る彼女を追ったものなんだけど、なんか、感想とか書けない。

Coccoに関しては、神がかったちょっとエキセントリックな人っていうイメージだったけど、この映画観て、感受性が強くて生きていくのが大変な人なんだなーってのがわかった。
ファンからの手紙で核の再処理工場がある青森県の六ヶ所村のことを知り、実際にその土地に行ってみて沖縄と同じだと感じたといって目に涙をためてライブで話す姿や、いろいろやらなきゃならないことがいっぱいあるのに、全然足りない、自分は無力で何もできないと話す姿とか、10代の頃は早く死ぬことばかり考えてたけど、いろんな人と出会ったり、いろんなことを知って、今は生きる理由がいっぱいあるって話す姿などなど。

息子について語ったときの、「もののけ姫」のエピソードでなるほどなあって思った。
昔の彼女の歌は、ざっくり開いた傷口から血が流れてるようなイメージのものが多かったけど、ここ数年は優しい歌になってきたなあって思ってたら、やっぱり歌は常に彼女自身だったんだなあ。

1月に観た映画メモ

おくりびと/落下の王国/アフタースクール(DVD)/チェ 28歳の革命/トウキョウソナタ/グミ・チョコレート・パイン(DVD)/殯の森(DVD)/グーグーだって猫である/ナイロビの蜂(DVD)/監督・ばんざい!(DVD)